紹介以外の問い合わせを増やしたい。ホームページはあるけれど、SEOに取り組むべきか、リスティング広告を出すべきか決められない。費用をかけるなら、事務所に合う顧客との出会いにつなげたいところです。
税理士事務所が最初に整理したいのは、増やしたい相談の内容です。法人顧問を増やしたいのか、創業期の経営者を支援したいのか、相続の相談を受けたいのかで、必要なページも集客方法も変わります。
相談してほしい業務を決め、その業務を任せられると判断できる情報を整える。そのうえで、問い合わせを増やしたい時期と予算に合わせてSEO・広告に取り組む。 この順番なら、限られた時間と費用をどこに使うか考えやすくなります。
税理士事務所がSEOとリスティング広告を選ぶ判断基準

SEOは、検索結果からホームページを見つけてもらうために、内容や構造を整える取り組みです。リスティング広告は、検索内容に関連する広告を掲載し、サイトへのアクセスを集める方法です。ここでは、Googleの検索広告を中心に考えます。
税理士事務所が選ぶうえで押さえたいメリット・デメリットは、次のとおりです。
| 方法 | メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|---|
| SEO | サービスページや記事を通じて、継続的に相談者との接点をつくれる | 成果が出るまで時間がかかり、制作・確認・更新の負担もある |
| リスティング広告 | 増やしたい業務や地域を絞って、早期に反応を確かめられる | 広告費が継続してかかり、配信やページの改善も必要になる |
どちらも、アクセスが増えれば相談につながるとは限りません。詳しい仕組みはリスティング広告とSEOの違い・使い分けで確認できます。ここからは、事務所の時期と予算に合わせて始め方を考えます。
問い合わせを増やしたい時期から考える
新しい業務の受付を始めるなど、早期に相談を増やしたい場合は、広告を検討します。検索される言葉と案内先のページを用意し、配信後の反応を見ながら改善します。
紹介からの受注を維持しながら、継続して検索経由の相談を増やしたい場合は、SEOの計画を立てます。GoogleのSEOスターターガイドでも、変更の反映には時間がかかり、必ず目に見える変化が出るわけではないと説明されています。
「今すぐ必要な相談」と「今後も増やしたい相談」を整理すると、広告を試す必要性も判断しやすくなります。
広告費だけでなく、制作・改善に使える予算を確認する
SEOも広告も、サイトに人を呼ぶ作業だけでは完結しません。サービスページの改善や、問い合わせを測る準備にも費用と時間がかかります。
| 費用の項目 | SEOで確認する内容 | リスティング広告で確認する内容 |
|---|---|---|
| 媒体への支払い | 自然検索への掲載に広告費は不要 | 検索広告ではクリックに応じた広告費が基本 |
| ページの制作・改修費 | サービスページや記事、サイト構造の整備 | 広告から案内するページやフォームの整備 |
| 継続する作業の費用 | 内容の確認・更新、検索状況の分析 | 検索語句・広告文・配信設定の確認と改善 |
| 事務所内の負担 | 専門情報の提供と原稿確認の時間 | 業務情報の提供と相談・契約結果の共有時間 |
SEOを内製する場合も、先生やスタッフが作業する時間は必要です。外注するなら、何を制作し、誰が確認し、どこまで改善する費用なのかを見積書で確認します。
毎月の費用を両方へ均等に割り振る必要はありません。まずは、ページ整備を含めて継続できる範囲を書き出してみてください。
集客を始める前に、相談してほしい業務とホームページを整える

アクセスを増やしても、訪問した人が「自分の相談を受けてもらえるのか」と迷うページでは、問い合わせの判断が難しくなります。SEO・広告を進める前に、力を入れる業務のページを確認しましょう。
法人顧問・創業支援・相続のうち、増やしたい相談を具体化する
「顧問先を増やしたい」という目標も、対象を詳しくすると伝える内容が変わります。創業したばかりの経営者と、経理体制を見直したい法人では、相談したいことが同じではありません。
例えば創業支援なら、開業前から相談できるのか、開業後の記帳や申告も依頼できるのかを説明します。既存法人の顧問契約なら、月次の相談体制や経理の進め方、税理士変更時の対応が判断材料になります。
相続についても、申告の依頼を受けたいのか、生前の相談を増やしたいのかを整理します。受け付けたい相談を具体的にすると、ページに必要な説明も見えてきます。実際に提供している業務と、新規に受けられる体制に合わせて選んでください。
相談者が依頼を判断できる情報をそろえる
サービスページには、少なくとも次の内容が伝わるようにします。
- どのような人・企業の、どのような相談に対応しているか
- 依頼できる業務と、契約に含まれる範囲
- 料金の目安や、見積もりに必要な条件
- 対応する税理士やスタッフ、相談方法、対応地域
- 問い合わせから面談・契約までの流れ
「幅広く対応します」「親身にサポートします」だけでは、ほかの事務所との違いを判断しにくいものです。オンラインで相談できる、特定の業種の会計処理に対応できるなど、確認できる事実を説明しましょう。
料金が一律に決められない場合も、何によって金額が変わるのかを示せます。相談者が見積もり前に準備する情報まで案内すると、問い合わせ後のやり取りにもつながります。
スマートフォンで問い合わせまで進めるかを確かめる
本文を読み終えた場所から相談フォームへ移れるか、入力項目が必要以上に多くないか、送信後の案内が分かるかを確認します。フォームの動作や通知先も、実際に送信して確かめておきます。
広告のために必ず新しいLPを制作する必要はありません。既存のサービスページで広告の内容に答えられ、問い合わせまで進めるなら、そのページを改善して使う選択肢もあります。Googleの広告ガイドも、広告と案内先ページの内容を合わせる考え方を示しています。
私たちは、ホームページ制作・改善の際に、専門性や対応内容をヒアリングし、相談者が依頼を判断できる情報として整理します。まずは主力業務のページを開き、上の項目で説明が足りないところを確認してください。
早期に相談を増やしたい業務は、対象を絞って広告を検討する

広告を始めるなら、どの業務の相談を、どの地域から受けたいのかを決めます。対応している業務をすべて並べるより、今回の予算で何を確かめたいかを明確にする進め方です。
検索する言葉と広告、案内先ページの内容をそろえる
相続税申告の依頼先を探している人に広告を届けるなら、広告文と案内先も相続税申告に合わせます。幅広い業務を紹介するトップページだけへ案内すると、必要な情報を探す手間が増える場合があります。
法人顧問を増やしたい場合も、「地域名と税理士」という言葉だけに限らず、相談者がどのような目的で検索するかを考えます。ただし、キーワードの候補が、そのまま十分な検索需要を持つとは限りません。配信地域や検索される量、想定される費用を確認して計画を立てます。
広告の配信後は、実際にどのような検索語句からアクセスされたかも確認します。求人や資格勉強など、今回受けたい相談と関係のない検索が含まれる場合には、除外キーワードなどの設定を見直します。設定したキーワードだけを見て、想定どおりに配信されていると判断しないようにしましょう。
広告費・ページ制作費・運用費を分けて見積もる
広告の見積もりでは、「月額費用」の内訳を確認します。広告媒体に支払う金額と、運用を依頼する費用、ページをつくる費用が一緒になっていると、実際に配信へ使える予算が分かりにくくなります。
| 準備の状況 | 初期に確認する費用 | 継続して確認する費用 |
|---|---|---|
| 既存ページを使う | 内容の修正、計測設定、広告の初期設定 | 広告費、運用費、ページの改善費 |
| 専用ページをつくる | 構成・原稿・デザイン・実装、計測設定、広告の初期設定 | 広告費、運用費、ページの改善費 |
| 事務所内で運用する | 設定作業や操作習得に使う時間、必要な外注費 | 広告費、担当者の作業時間、必要な改善費 |
金額は、地域や業務、ページの状態、依頼する作業で変わります。見積もりを比較するときは、成果報告だけなのか、広告文やページの修正まで含むのかも確認してください。
受付できる件数と、検証に使う予算を決めてから配信する
問い合わせが増えても、面談や返信を担当できなければ契約の機会を逃しかねません。繁忙期の予定や新規受入枠を確認し、誰がいつ対応するかを決めます。
また、「少額だから試す」だけでは、判断に必要な反応が集まらない場合もあります。想定するクリック単価などを踏まえ、予算内でどこまで検証できそうかを運用担当者と確認します。試す業務・使える予算・見直す条件を書き出してから配信へ進みましょう。
継続して相談を増やしたい業務は、サービスページと関連記事を育てる
SEOに取り組むと聞くと、税務コラムを増やすことを思い浮かべるかもしれません。記事づくりに加えて、依頼を検討する人が読むサービスページを整えることにも目を向けましょう。
まず、主力業務のページで相談者の疑問に答える
法人顧問のページなら、対応する企業、支援内容、面談の方法、料金の考え方などを説明します。業種を強みとして伝える場合は、その業種の経営者が何を相談できるのかまで具体化します。
「地域名と税理士」の検索を意識する場合も、実際の所在地・対応地域や相談方法が読み取れる内容にします。検索されたい地域名を増やすためだけに、似た内容のページを量産する必要はありません。
既存ページの表示状況や問い合わせ内容を確認しながら、相談者に足りない情報を補っていきます。SEOはサービスページにも関わるため、「SEOは情報収集する人だけ、広告は依頼する人だけ」と分け切らないようにしてください。
関連記事から、相談できる業務へ自然に案内する
記事のテーマは、増やしたい業務につながる疑問から考えます。創業支援なら、開業後の経理の進め方や税理士へ依頼するタイミングなどが候補になります。
記事で疑問に答えたうえで、その作業や判断を相談できるサービスページへ案内します。読者が自分で確認したい内容にも十分に答え、相談が必要なときに依頼先を確認できる構成です。
税務の解説は、先生や担当者が専門面を確認し、内容が古くなったときに更新する体制も必要です。最初から多くの記事を計画するより、確認・更新まで続けられるテーマ数に絞って着手します。
広告を試している間も、必要なページ改善を進める
予算と確認する時間を確保できるなら、広告を配信しながらSEO向けの改善を進める方法もあります。広告経由の相談で寄せられた質問は、サービスページに足りない説明を考える材料になります。
ただし、広告で反応があった言葉なら自然検索でも上位に表示できる、というわけではありません。検索結果に並ぶページや読者が求める内容を別に確認し、記事やページを改善します。
まずは主力のサービスページと、それを補う記事を決めましょう。広告を止める時期も、SEOの順位だけで決めず、相談・契約への影響を見ながら判断します。
問い合わせと契約の結果を見て、SEOと広告への配分を見直す
集客方法を始めたあとは、アクセスが増えたかに加えて、どのような相談が来たかを確かめます。希望する業務の契約につながるかどうかで、次に費用をかける場所も変わるためです。
フォーム送信・電話・面談・契約を段階ごとに記録する
Google広告のコンバージョン測定では、申し込みや電話問い合わせなど、目標とする行動を設定できます。サイトのアクセス解析と合わせて、問い合わせの状況を確認する準備をします。
電話番号のタップを計測する場合は、実際の通話や有効な相談と同じ件数にはならない点に注意してください。フォーム送信も、営業連絡や対象外の相談を含む場合があります。事務所側で面談・契約の結果を記録し、集計値と照らし合わせます。
記録するのは、相談業務、希望地域、面談につながったか、契約になったか、見送りの理由などです。経路が分からないものは不明として残し、すべてを無理にSEO・広告へ振り分ける必要はありません。
反応が止まっている段階に合わせて改善する
検索結果には表示されてもクリックされないなら、検索された言葉とページの内容、タイトルが合っているかを確認します。アクセスがあるのに問い合わせがない場合は、対応業務や料金、相談方法の説明を見直します。
問い合わせはあるのに契約につながらない場合には、集めたい相談とのずれや、費用・対応体制の認識違いを確認します。アクセス数を増やすだけで解決できるとは限りません。
また、広告を評価するときは、広告費だけでなく運用費や制作費も把握し、相談・契約の件数と比較します。顧問契約と単発の申告業務では、売上や対応に必要な時間も違います。事務所に残る利益と受入体制まで含めて継続を判断してください。
両方を続けること自体を目標にしない
SEOと広告を併用していても、常に同じ予算配分を続ける必要はありません。広告から希望する相談が得られているなら継続を検討できますし、ページの情報不足が見つかったなら改修へ費用を回す判断もできます。
件数が少ない段階では、短期間の増減だけで成功・失敗を決めず、検索状況と相談内容を合わせて見ます。そのうえで、次に行う作業を決めましょう。配信範囲を見直すのか、主力ページを直すのか、専門記事を追加するのか。改善する対象を具体的にすると、外注先とも話しやすくなります。
よくある質問
Q. 開業したばかりの税理士事務所は、広告から始めるべきですか?
A. 開業直後という理由だけで、広告を優先する必要はありません。早期に相談を増やす必要性、案内するページ、継続して使える予算、受入体制で判断します。まず対応業務と相談の流れを整え、広告を使う場合には、どの業務の反応を確かめるのかを決めて始めます。
Q. SEOに取り組めば、リスティング広告は不要になりますか?
A. SEO経由で必要な相談を獲得できれば、広告費を減らす選択肢はあります。ただし、自然検索の順位や問い合わせは変動し、広告と自然検索で届く人も完全には一致しません。新しい業務の告知なども含め、広告を続ける目的があるか、停止した場合に相談件数へどう影響するかを確認して判断します。
Q. 広告を出すために、専用のLPをつくる必要はありますか?
A. 既存のサービスページで広告内容に答えられ、問い合わせまで分かりやすく進めるなら、改修して使う方法があります。一方、対象者や業務を限定して案内したい場合は、専用ページが適することもあります。制作費をかける前に、既存ページで不足している情報や導線を確認してください。
Q. 広告予算が少ない場合、SEOにすべて回す方がよいですか?
A. 予算額だけでは決められません。対象地域や業務、想定するクリック単価によって、広告で確かめられる範囲が変わります。SEOにも制作費や確認時間が必要です。まず主力ページの状態を確認し、限られた予算でどの疑問を解消するかを決めてから、ページ改善と広告への配分を検討します。
Q. 税務コラムは、毎週更新しないとSEOの効果が出ませんか?
A. 毎週という更新頻度だけで、検索結果や問い合わせが決まるわけではありません。相談してほしい業務に関わる疑問へ答えているか、内容が正確か、サービスページへ進めるかを確認します。新規記事を増やす作業と、既存ページの確認・更新を続けられる体制を考えましょう。
税理士のWeb集客は、増やしたい相談とページの整備から始める
SEOとリスティング広告の使い分けは、問い合わせを増やしたい時期、予算、増やしたい業務で変わります。まず相談者に何を依頼してほしいかを決め、その判断に必要な情報をホームページへそろえてください。
そのうえで、早期に反応を確かめたい業務は広告を検討し、継続して相談を増やしたい業務はサービスページと関連記事を育てます。始めたあとも、相談と契約の結果を確認しながら費用と作業の配分を変えていきます。
私たちは、士業事務所のホームページ制作に加え、公開後のアクセス分析やページ改善、更新・運用を支援しています。今のホームページで何から手を付けるか迷っている場合は、増やしたい業務や現在の集客状況と合わせて、ホームページの改善・運用をご相談ください。
参考文献
- Google 公式 SEO スターター ガイド — SEOの基本的な考え方、検索結果への反映、コンテンツやリンクの整備。
- 広告とランディング ページを最適化する|Google広告ヘルプ — 検索語句・広告・案内先ページの関係と改善方法。
- コンバージョン測定について|Google広告ヘルプ — 問い合わせなどの行動を把握し、広告の成果を判断するための測定。
- クリック単価(CPC)|Google広告ヘルプ — クリック単価制での費用の発生方法。